カシオの電波ソーラー時計ブランド、オシアナス。広大な青い海をテーマに、透明感のある優美なデザインと、カシオが誇る最先端の技術を交差させた、大人のためのハイエンドな電波ソーラー時計を展開しています。今回は、オシアナスの顔ともいえる最新の限定モデルたちとともに、その魅力を探ります。

高性能と優美さを併せ持つオシアナス
オシアナスと言えば、カシオのハイエンドな電波ソーラー時計に特化したブランドです。カシオを代表する時計ブランド「G-SHOCK」などとは全く異なる、煌びやかでエレガントな世界観を持つ製品群を生み出しています。
ブランド名であるオシアナスはギリシャ神話の海神「オケアノス」に由来します。ブランドカラーである「オシアナスブルー」を基調とした透明感と深みのあるデザインは多くのビジネスパーソンを虜にし、オンオフ問わず幅広いシーンでエレガントに着けこなせるG-SHOCK譲りのタフさも魅力の一つです。
オシアナスの歴史は20年以上も前にさかのぼります。2004年11月に誕生した初代オシアナス「OCW-500」がその始まりでした。チタン製のソーラー電波時計でありながら、クロノグラフとワールドタイム表示機能を併せ持つ世界初の腕時計としてデビュー。フルアナログ針の今のラインナップとは異なり、日付や曜日を表示するための液晶ディスプレイも併載した野心作でした。

加えて2006年には、そこからさらに進化を遂げた「OCW-M700」を発表。世界各国の時刻表示とストップウォッチ、潮汐表示などを6本のアナログ針のみで行うことに加え、世界5局の電波受信機能を備えたフラッグシップモデルで、球面サファイアクリスタル製の風防や観音開き式のバックルなど高級機にふさわしい仕上がりでした。
2000年代当時は、国内時計ブランドが電波ソーラー時計の開発を積極的に進めていた”高精度時計”の黎明期。その中で他と差別化を図ったのは、オシアナスというブランドに”エレガンス”という要素を加えたことでした。カシオがオシアナスで目指したのは、世界各地で1秒たりとも狂わない精度と、研ぎ澄まされた造形物としての精度の、ふたつの精度を徹底的に追求すること。
このようなブランド誕生の背景があってこそ、オシアナスの時計は総じて高精度で美しいものに仕上がっています。高級時計に使用される高品質な素材を使い、チタンやガラスなどに入念な仕上げを施すなど、カシオ製品の中でも最上位の手の込みよう。加えて操作性や視認性、装着感など、ユーザービリティの部分でも突き詰められているからこそ、数ある電波ソーラー時計の市場で独自の世界観を築き上げてきたのです。
さて、今回はそんなオシアナスにおける集大成ともいえる、限定モデルやフラッグシップモデルたちの魅力を詳しくご紹介します。
最新シリーズのテーマは「Indigo Ocean-阿波藍」
今のオシアナスを代表する基幹シリーズである「Manta(マンタ)」は、その名を大型エイである「オニイトマキエイ」に由来します。マンタが海中で優雅に舞う姿のように、薄く美しいフォルムと優雅なデザインと、最新鋭の機能を兼ね備えたフラッグシップ機たちが揃います。
まずご紹介するのは、そんなマンタシリーズの最新作です。「Indigo Ocean-阿波藍」をテーマにした新しいシリーズは、これまでの”海の青”とは少し異なる解釈で、日本古来より伝わる藍色が用いられています。今でこそ青い時計というのは星の数ほど存在しますが、ここまで青の美しさを長きにわたって追求してきたブランドはそう多くありません。この2モデルは、青の美しさを追い求めてきたオシアナスの集大成と言っても過言ではないでしょう。

チタン製ケース(直径42.5mm、厚さ9.2mm)。10気圧防水。タフソーラー。49万5000円(税込み)。世界限定700本。1本のみの入荷。小林時計店オンラインストアの商品ページはこちら
「Indigo Ocean-阿波藍」がテーマとして今年発表された新作3本のうち最も上位のモデルが「OCW-S6000AP-1AJR」。世界限定700本という稀少性も魅力の1本です。まず、阿波藍とは何なのか。これは世界的に”ジャパンブルー”として広く知られる藍染めの文化を江戸時代から続く技法で今に受け継いでいる、徳島県産の天然藍のこと。阿波藍は日本国内で流通する天然藍の95%以上を占めており、深みと鮮やかさを持つ独特の青味が特徴となっています。日本の伝統色を”オシアナスブルー”として取り込む手法は見事です。
まず目を惹くのは、ケースを取り囲むサファイアクリスタル製のカットベゼルでしょう。渦を巻くようなパターンで造形されたこのベゼルは雄大な海の波をイメージしているそうで、その厚みも相まって立体的で奥行きを感じさせます。蒸着によりグラデーションカラーで染められていることもあり、ベゼルに入る光の角度によって多彩な表情に変化します。オシアナスの上位モデルでは「江戸切子」の伝統技法を用いたサファイアクリスタル製のベゼルを多用し、新作が出るたびに新たな表現方法を生み出しているのです。

そもそもサファイアクリスタルは非常に硬質な素材で、加工の難易度が高いことで知られています。通常、高級時計においては薄くフラットな風防に使用される程度で、それ以外のパーツに使われるのは稀。製作の手間やコストを考えるとなかなか取り入れにくい素材ですが、透明感と美しさを求め続けてきたオシアナスは、このサファイアクリスタルをむしろ積極的に採用してきました。この厚みと立体感でサファイアクリスタルの美しさを引き立てることができたのは、この分野の技術を積み重ねてきた20年を超える歴史があったから。波を模した曲面状の48面カットは、指先で触れることでもその立体感を実感できます。

チタン製ケース(直径42.8mm、厚さ9.5mm)。10気圧防水。タフソーラー。26万4000円(税込み)。世界限定1300本。1本のみの入荷。小林時計店オンラインストアの商品ページはこちら
続いては、同じく「Indigo Ocean-阿波藍」がテーマのミドルレンジ機種として登場した「OCW-S7000AP-1AJF」。こちらも限定品で1300本のみの生産です。本作が含まれるマンタS7000シリーズは前述のS6000シリーズと比較して、ベゼルに時速を計測するためのタキメーター表記を加えることでも、よりスポーティーな印象に仕上がっています。
価格は26万円台とおおよそ「OCW-S6000AP-1AJR」の半分ほどですが、ベゼルにブルーグラデーションのサファイアクリスタルを採用している点は共通です。S6000のようにベゼル全体ではなく、ブルーIP(コーティングによる着色)を施したチタン製のベゼル表面にサファイアリングを嵌め込んだ構造になっています。

そして、この2本で最も共通しているのは文字盤部分です。6時・9時・12時位置のインダイアルは白蝶貝で作られており、ここを阿波藍で染めるという手法をとっています。この阿波藍の具体的な製法は次の通り。まず蓼藍(タデアイ)という植物の葉を水に浸し、数日間かけて葉の色素を抽出します。
この色素に石灰や灰汁を加え、雑味のない濃藍成分を沈殿分離させると泥状に凝縮し、「沈殿藍」と呼ばれる染料となります。この沈殿藍は、1トンの葉から2〜4kgほどしか作れない貴重なもの。この沈殿藍を用いて作られた顔料が、インダイアルの着色に用いられているのです。
注目すべきは、3つのインダイアルそれぞれの色が異なっているところ。近くは濃く、遠くは薄く見え、移り変わる海の風景の変化を再現するため、緻密な色調の調整を行うことでこの絶妙な染め分けを実現。そして白蝶貝の斑模様を活かすために、濃く染めすぎずに下地の見える程度に染料を薄めているとのこと。
加えてインダイアル以外の表面に波をイメージしたパターンをクリア塗装でさりげなくプリントし、ダイアル全体で海の青さと躍動感が表現されています。細部までこだわり抜いているからこそ、ソーラー時計であることを感じさせない高級感のあるディテールに仕上がっているのです。
ガリウムタフソーラーというオシアナスの到達点
このような青を基調としたオシアナスのコレクションの数々ですが、少なからず”青くない”モデルも複数存在します。オシアナスのコレクションでは、2004年の誕生当時からソーラー発電によるバッテリー駆動を行うという大きな機能的要素は今も変わっていません。その「ソーラー発電」という大きな主軸部分を、カシオがいま実現できる技術を突き詰めて誕生した最新のフラッグシップモデルがあります。それが、ここでご紹介する「ガリウムタフソーラー」と呼ばれる特殊な技術を採用した2本のモデルです。

チタン製ケース(直径43.0、厚さ11.7 mm)。10気圧防水。ガリウムタフソーラー。55万円(税込み)。世界限定350本。1本のみの入荷。小林時計店オンラインストアの商品ページはこちら
写真右:オシアナス「OCW-SG1000ZE-1AJR」
チタン製ケース(直径43.0、厚さ11.7 mm)。10気圧防水。ガリウムタフソーラー。68万2000円(税込み)。世界限定600本。1本のみの入荷。小林時計店オンラインストアの商品ページはこちら
前項でご紹介した2本のモデルと同じマンタシリーズに属するガリウムタフソーラーモデルは、その価格帯からもオシアナスのフラッグシップ機であることがお分かりいただけるでしょう。そもそもガリウムタフソーラーとは、カシオが50周年を迎えた2024年に披露された新技術。同年に日本初の月面着陸を果たしたJAXA(宇宙航空研究開発機構)の小型月着陸実証機「SLIM」に搭載されている、日本のシャープ社が製作した太陽電池技術を、腕時計のムーブメントに適合させるために小型化してその技術を応用したものです。またガリウムとつく名称は、ソーラーパネルに採用例の極めて少ない「ガリウム化合物」を基盤材料として使用していることに由来します。

ではなぜ採用例の少ないガリウムを採用したのか。このガリウム化合物を含んだソーラーパネルの特性として、従来のシリコン素材を使用したものと比較して発電効率がはるかに高いというのがその理由で、さらに宇宙環境で使用することを想定しているため耐久性にも優れるといいます。ソーラーパネルになっているのは、上の展開図左側にある黒い半リング状のパーツで、ムーブメント表面を覆うように大きな「面」でソーラーパネルを設置する通常のムーブメントとは全く異なる構造を持っています。
この細い半リング状のソーラーパネルのみで駆動に十分なパワーを発電でき、上には数字の形に合わせてスケルトンになった日付表示リング(上の展開図 青~紫にグラデーションのかかったパーツ)を上に重ね、その隙間から差し込む光で発電を行っているのです。非常に変わった他に例のない構造ですが、その性能はご安心を。カシオが行った検証では、晴天時の太陽光(約5万ルクス)での発電効率は従来の約5倍、蛍光灯(約5百ルクス)でも約2倍の充電効率を計測することができました。
そして、このようなソーラーパネルの省スペース化は、デザインの制約を減らすことにもつながりました。多くのソーラー発電時計の文字盤は、文字盤下のスペースに「面」で広がるソーラーパネルへ外からの光を届けるために、文字盤を半透明な樹脂素材(ポリカーボネート等)で作る必要がありました。カシオは樹脂成型の技術に長けているため、樹脂製であってもデザインや仕上げの工夫によりチープな印象にはなっていませんが、それでも金属製のものと比較すると表現の幅が制限されます。
対してガリウムソーラーを採用した2本の文字盤は光を通さない金属製。前述したように日付表示のリング部分を空けておけばよいわけで、それ以外の部分は半透明な樹脂製である必要がなくなったのです。さらに言えば、スケルトンになった日付表示リング自体もステンレススティールでできているのだそう。高効率なソーラー機能と、金属パーツならではの高級感を見事に両立しました。

「OCW-SG1000ZE-1AJR」の文字盤は光沢のある仕上げ。ベースの素材は、様々な電子部品や管楽器などにも広く採用されるリン青銅で、文字盤に重なったインデックスや見返しリングは真鍮製。クリアではなくソリッドな塗装を与えることで、高級機械式時計に並ぶ重厚感を得ることに成功しています。

本作で注目すべきは文字盤の表現方法。本作のテーマである「月」をイメージした文字盤は、上の写真の通り非常に細かなテクスチャーが刻まれています。文字盤の素材はもちろん金属製。月のクレーターの細かな凹凸が生む陰影を表現するために、型打ちによる目付けを行い、そこから塗装とメッキで着色、さらに細かな表現を生むために塗膜ラップを施すという手の込みよう。
全体的にモノトーンで統一することで、通常のオシアナスにはない質感と、それに伴う静寂が生まれています。20余年ものオシアナスの歴史が築き上げた、ソーラー発電時計という分野の一つの到達点とも言えるモデルでしょう。
最後に

いかがでしたでしょうか。ソーラー電波という高い機能性と、幅広いシーンで着用できる優美さを兼ね備えた、カシオのプレミアムウォッチブランド、オシアナス。今回ご紹介しましたのは、オシアナスブルーの美しさを新しい形で体現する2本の最新モデル。そしてソーラー発電の常識を変える”ガリウムソーラー”を搭載した2本のフラッグシップモデル。それぞれに個性が際立ちながらもエレガントという1本の軸が通った、技術と美を併せ持つ唯一無二のソーラー電波時計なのです。
小林時計店では、小倉の魚町店にてオシアナスの取り扱いがございます。10万円台のエントリーモデルから、ここでご紹介したような限定モデルまで数多く取り揃えておりますので、オシアナスの魅力をぜひ店頭でご体感ください。また新作の入荷状況や、限定モデルの在庫の有無などにつきましても、お気軽にお問い合わせくださいませ。
最後までお読みいただきありがとうございました。