生涯愛せる国産レディース時計。腕元が華やぐ、グランドセイコーのレディースクォーツの世界

日本を代表する高級時計ブランドであるグランドセイコー。質実剛健かつ繊細な仕上がりが特徴のコレクションの中で、メンズモデルと比較して少数派ではありますがレディースモデルが存在します。

日本人の美意識と職人技を反映させたグランドセイコーのレディースモデルは、どんなシーンでも着用しやすい肌なじみの良さがポイントです。今回は、小林時計店オンラインストアでも購入可能で、比較的手に取りやすいクォーツモデル4種とともに、その魅力を紐解いてみましょう。

目次

女性にこそ見ていただきたい、グランドセイコーのレディースウォッチ

グランドセイコーと言えばどんな印象をお持ちでしょうか?

長い歴史を持ち、日本が誇る時計製造技術を世界へ発信する担い手としても重要な役割を果たしている、日本を代表する高級時計ブランドです。コレクションやモデルによってデザインは違えど、すべてにおける共通項として”直感的に美しいこと”が挙げられるでしょう。

これはグランドセイコーが永きにわたって守り続けてきたデザイン文法「グランドセイコースタイル」に則って作られていることに起因します。1960年代後期に製造された「44GS」という歴史的に重要なモデルによって基本的なスタイルが確立され、少しづつ形を変えながら今日まで受け継がれているのです。グランドセイコーの腕時計は一見するとシンプルですが、その中で我々が直感的に美しく感じるように、綿密な設計がなされています。

流れるような曲線が織りなすケースサイド。面の歪みやダレを極限まで抑えた、グランドセイコー独自の研磨技術「ザラツ研磨」によって磨かれています。曲面と平面をうまく組み合わせることで、外装の明暗を生んで立体的な美しい造形を作り出しています。

特に強く反映されているのが”日本の美意識”。重要なキーワードは「光」と「影」との関係性です。例えばケースは曲線と直線が織りなすデザインの中で、繋がる面と面の境界線をはっきりつけることで陰影をはっきりさせたり、文字盤上では厚みのある針と目盛り(インデックス)に斜めのカットを入れることで存在を際立たせ、高い視認性をもたらしている事など。シンプルゆえに決して強く主張しない要素ですが、だからこそ日本人の感性にさりげなく訴えかける美しさを持っているのです。

そして今回ご紹介するレディースモデルは、多くのメンズモデルと比較するとより繊細な雰囲気を漂わせています。重量感やケースの厚みなども相まってメンズモデルが大柄に見える一方で、レディースモデルは一貫して”線が細い”印象を受けます。サイズ感や素材使い、着け心地など、女性の腕元で馴染むようにメンズモデルとは異なるアプローチがなされています。

グランドセイコーの証である獅子の紋章。最高峰の腕時計を作り出すという意志が込められ、クォーツモデルではケースの裏蓋中央に刻印されています。

それでいてグランドセイコーの名に恥じない妥協なきクオリティで作られているため、長い年月をともにする腕元のパートナーとしても選ぶにふさわしいモデルたちです。前述のようにデザイン文法が確立されているため、極めて普遍的なアイテムと言えます。その時代、年代の流行り廃りを全く気にせず、生涯にわたってご愛用いただけるでしょう。

それでは具体的に、女性に薦めたいレディース4モデルをご紹介いたします。共通して電池で動作する精度なクォーツ式のため、時刻のずれを気にせずに永く使用できます。そして、もしもの時もアフターサービスの体制が整っているためユーザーにとっても安心です。タイプ別のモデルの中から、お好みの1本を見つけてみてください。

ヘリテージコレクション STGF265

グランドセイコー「ヘリテージコレクション STGF265」
ケース:ステンレススティール(直径28.9mm、厚さ8.7mm)、10気圧防水
ムーブメント:Cal.4J52(クォーツ式)
機能:時・分・秒、日付
価格:30万8000円(税込み)、2025年9月現在

まず1本目にご紹介するのは、レディースモデルの中で最もスタンダートで手に取りやすいプライスが魅力の「ヘリテージコレクション STGF265」です。ヘリテージコレクションは、全体のバランスが取れた王道デザインと謳う、かつてのグランドセイコースタイルを現代的に解釈したシリーズです。

癖のないシンプルな造詣は多くの人に馴染み、シーンを選ばずに着用できる実用性も兼ね備えています。登載するクォーツ式ムーブメントは、電波時計ではないにもかかわらず1年間で±10秒という正確性。ほとんどリュウズを回して時刻修正を行う必要がないのです。

シンプルなホワイト文字盤の上で際立つ針とインデックス。この浮き出たようにも見える分厚く立体パーツがグランドセイコーの特徴でもあります。日付表示の窓枠も含めて、角が斜めにカットされた形状であるため視認性も非常に高くなっています。

本作の文字盤は、人気で飽きの来ないサンレイ仕上げのホワイトカラー。グランドセイコーとしての基本性能と機能美はそのままに、女性の腕に合わせた繊細な作り込みがなされています。ケースは直径28.9mmと小型でありながら10気圧の防水性を備えている点も、高い実用性に貢献しているポイントです。

標準で装備されたステンレス製のブレスレットは、時計本体とのバランスも考慮されているため不快感のない快適な着け心地が得られます。また別売りのレザーストラップに交換すると、ドレッシーな雰囲気に早変わり。着用シーンの幅を一気に広げてくれるでしょう。

これこそシーンを選ばないオールマイティーな1本と言えるでしょう。黒文字盤の時計は手元を引き締める一方、本作の白文字盤は手元を明るくしてくれます。また程よく厚みのあるブレスレットは、快適な装着感をもたらします。

ヘリテージコレクション STGF267

グランドセイコー「ヘリテージコレクション STGF267」
ケース:ステンレススティール(直径28.9mm、厚さ8.7mm)、10気圧防水
ムーブメント:Cal.4J52(クォーツ式)
機能:時・分・秒、日付
価格:33万円(税込み)、2025年9月現在

2本目のご紹介する「ヘリテージコレクション STGF267」は、前述のホワイト文字盤のバリエーション違いで、こちらは文字盤の素材がピンクシェルとなったモデルです。シェル文字盤とは、アクセサリー等にも採用されている「白蝶貝」を薄くスライスして文字盤の表面に張り付けたもの。自然が生み出した天然素材であるため、ふたつとして全く同じものが存在せず、唯一無二の雰囲気が味わえます。

ピンクシェル文字盤の実機写真。天然素材のため個体ごとにわずかな色味の差があります。この写真の角度では反射によりホワイトに見える部分が多くなっています。また肉眼で見ると立体的かつ奥行きがあります。

シェル文字盤の特徴は、素材特有の組成により見る角度や光の強さによって色味が変化すること。本作は主にピンクですが、ほんのわずかにグリーンやパープルに見える部分が存在します。表面は平坦でありながら奥行きと透明感があり、これは人工物では作り出せない質感と雰囲気を堪能できます。

本作のピンクシェル文字盤は決して主張しすぎることなく柔らかな光を放ち、シャープな針とインデックスのおかげで視認性も損なわれていません。前述のSTGF265同様、女性の腕元でさりげなく個性を演出してくれる存在となるでしょう。

ピンクシェル文字盤は日本人にとって肌馴染みが良いカラーリングとしても人気です。着用時にはシェルが周囲の環境によって表情を変えるため、時計を眺めるという楽しみも味わえます。

ヘリテージコレクション STGF275

グランドセイコー「ヘリテージコレクション STGF275」
ケース:ステンレススティール(直径26mm、厚さ9.2mm)、10気圧防水
ムーブメント:Cal.4J52(クォーツ式)
機能:時・分・秒、日付
価格:33万円(税込み)、2025年9月現在

3本目にご紹介する「ヘリテージコレクション STGF275」は、前述の2モデルよりさらに小型のモデルです。ケースの直径は26mmと、現在グランドセイコーで展開されているレディースモデルの中で最少となっています。

同じヘリテージコレクションのレディースモデルでありながらも、サイズによってケースやブレスレットのデザインを変えているという点は、決して妥協を許さないグランドセイコーらしいところ。ケースをよく見ると、ラグ(ブレスレットとの接続部)からケースの側面にかけて大きくカーブを描いたデザインになっています。一部だけ直線部分があった前述の2モデルと比較すると、より可愛らしく女性らしい印象を受けるでしょう。

ホワイトシェルの色の変化はまるでホログラムシートのようです。曇りの日など柔らかい光ではほんのり白みがかった平滑な文字盤に見えますが、太陽光や強いスポットライトの下で見ると、表面の陰影が浮かび上がり、グリーンやピンクなどカラフルな色味が現れます。これは貝の表面に半透明の膜が幾重にも重なった構造になっており、ここで光の波長と干渉を起こすことで様々な色に見えるというわけです。

また本作の文字盤は前述のSTGH267同様にシェル文字盤ですが、ピンクシェルではなくホワイトシェルが採用されています。この貝の表面の色味は、品種や加工する場所によって異なるため、得に個性が際立つ部分です。ピンクシェルより色味の変化が出やすく、見る角度によっては全体がブルーやパープル、グリーンになることもあります。

そして直径26mmという非常に小さなサイズであっても、1年間で±10秒という精度と、10気圧防水というスペックは変わりません。フェミニンで繊細なグランドセイコー最小モデルであっても、時計としての実用性は全く失われていないのです。

この着用写真では、文字盤全体が淡いブルー系の色味になっていることが分かります。ピンクシェル以上に色の変化を腕上で楽しめることができ、芸術性も兼ね備えた上品さを演出します。

ヘリテージコレクション STGF277

グランドセイコー「ヘリテージコレクション STGF277」
ケース:ステンレススティール(直径26mm、厚さ9.2mm)、10気圧防水
ムーブメント:Cal.4J52(クォーツ式)
機能:時・分・秒、日付
価格:42万9000円(税込み)、2025年9月現在

4本目は今回ご紹介する中で最も華やかなモデルとなる「ヘリテージコレクション STGF277」です。STGF275同様の直径26mmケースが囲むピンクシェル文字盤を持ち、インデックス部分にダイヤモンドがあしらわれています。

3時位置の日付表示部分を除く11箇所のインデックスには、2粒づつダイヤモンドがセッティングされ、計22粒でおよそ0.09カラット。文字盤のピンクカラーとも相まって、全体的に可憐で気品を感じさせる輝きをもたらしています。ピンクシェル文字盤、ダイヤモンドともに光や見る角度によって見え方が変わるので、常に変化する様々な表情を楽しむこともできます。

ピンクシェルとダイヤモンド、天然の美しい素材の共演です。この写真が示す通り、中央から伸びる3本の針の多面カットにより立体感が強調され、視認性は抜群。装飾のある文字盤においても、「グランドセイコースタイル」のデザイン文法は守られています。

そして、この輝きが際立つのは高精度で仕上げられた針の存在があってこそでしょう。グランドセイコーの針の仕上げは時計業界全体からも高い評価を受けており、鏡面にカットされた面のおかげであらゆる角度からの視認性を確保しています。”良い時計を見分けるには針を見ろ”と言われるほど、時計の針は美観においても重要な部分なのです。

腕に着用すると、文字盤や針などひとつひとつのパーツがより一層上品に華やぎます。ダイヤモンドのあしらい方もあくまで控えめなため、実用的なスペックも含めて普段使いとしても気軽にお使いいただけるでしょう。常に腕元でダイヤモンドが輝き、本作とともに日常での気分を上げてくれるはずです。

ピンクのネイルと色合わせした着用写真。レディースウォッチはときにブレスレットのようなアクセサリーとしても有用です。手元のカラーリングを統一すると品が良くまとまった印象になります。

あなたの腕で生涯輝く1本を

ここまで特にお勧めしたい4本のモデルをご紹介しましたが、いかがだったでしょうか?

2サイズのケースに異なる素材の文字盤が組み合わされ、それぞれに個性を持ったレディースモデルたち。シェルやダイヤモンドなど華やかなデザインを持ちながらも、高精度な機械と高い防水性で、ビジネスからプライベートまで幅広いシーンで生涯愛用できます。これらのほかにも複数のモデル展開があるので、お好みの1本を見つけてみてください。

この記事の監修

小林時計店のイメージ画像

小林時計店

腕時計は人が購入する物の中でも最も身近で、最も長い期間使う物の一つだと言われています。当店でお選びいただいた一本の時計との付き合いが皆様の人生の大半を占めてゆくことになります。
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