”専属のコーチ”になる高性能スマートウォッチ!ガーミンの人気モデル「Forerunner(フォアランナー)」シリーズを詳しく解説

2025年5月より小林時計店魚町店で新たに取り扱いをスタートしたガーミン。高性能なGPS機能を備えた数多くのスマートウォッチを手掛ける同社は、スマートウォッチ市場で世界シェア2位となった実績を持ち、国内においてはアップル、ファーウェイ、シャオミに次ぐシェア率を誇るなど、注目度が年々高まってきています。

今回ご紹介する「Forerunnner(フォアランナー)」は、ガーミンの中でも特に人気が高いシリーズ。ガーミンが得意とする高性能なGPS機能を活かしながら、スポーツだけではなくユーザーの健康管理全般をモニタリングする”専属のコーチ”になってくれるのです。数多く展開されるモデルの中で、あなたに合った1本を見つけてみましょう。

目次

あらゆる分野で活躍する技術者集団「ガーミン」の強みとは?

日本国内、特に一般ユーザーの中ではスマートウォッチのブランドという印象が強いガーミンですが、もともとは航空機や船舶に搭載する専門機器を手掛ける小さなメーカーでした。

ガーミンが創業したのは1989年で、社名の由来は創業者ゲイリー・バレル氏とミン・H・カオ氏、2人の名前を組み合わせたもの。当時、世の中のGPSが発展途上であり、2人はこの位置情報を正確に受信するというGPS技術に高い可能性を感じたのです。

ゲイリー・バレルとミン・H・カオ。1980年代後期、世はまさにGPS技術の黎明期。アメリカの中央部に位置するカンザス州に設立した小さなオフィスで、12 人のエンジニア達とともにGPS機器の開発を進めました。

1991年、ガーミンが初めて世に送り出したのは、船舶などの乗り物に登載するナビゲーションシステムでした。その優れた性能から、発表されたと同時におよそ5000台もの注文を受け、華々しいスタートを切りました。1993年には、世界初となる航空機用の携帯型GPS機器を発売し、多くの航空機パイロット達からの支持を獲得。ガーミンはGPSという主軸のもとで、プロフェッショナル向けの計器を展開していきました。

ガーミン初の製品は、「GPS100」と名付けられた多用途向けGPS機器。当時の価格は2500ドル、小型で長寿命バッテリー、優れたGPS性能が船舶や航空などの分野で評価され、数千台もの多くの注文を受けました。

ガーミンが一般のユーザー層にも目を向けたのは2003年のこと。今回ご紹介する「Forerunnner(フォアランナー)」シリーズの元祖ともいうべきウェアラブルデバイス「Forerunnner 201」が登場。発売時点ではスマートウォッチというもの自体が存在しなかったため、腕時計型の計測機器という立ち位置でした。当時としては非常に小型であり、装着したランナーはリアルタイムで自身のランニングデータを手元ですぐに確認することができました。

世界初のGPS搭載ランニングウォッチ「Forerunner 201」。ガーミンのエンジニアが登山向けGPSナビゲーターの開発を進める中で、計測した距離と速度のデータが、ランナーのペースデータに変換できることを発見したのがきっかけとなり誕生。ガーミンのウェアラブルデバイスの祖となりました。

その後も、GPS技術を活かしながら、多くの製品を世に輩出。ロードバイクに装着するサイクルコンピュータや、ゴルフにおけるパフォーマンス向上をサポートする測定機器などを手掛け、2012年には今も続くアウトドア向けスマートウォッチ「FENIX(フェニックス)」を発表。このFENIXの開発で培われた堅牢性や機能性は、現行のスマートウォッチのモデル群に受け継がれています。

このようなガーミンの歴史を振り返ると、他のスマートウォッチを手掛けるメーカーとの明確な違いを感じるでしょう。前述したアップルやファーウェイ、シャオミなどは、いずれもスマートフォンやPCを手掛けるメーカーです。

アップルウォッチに代表されるように、これらのメーカーのスマートウォッチはスマートフォンの機能を拡張させるためのデバイスとして開発しています。一方でガーミンは、もともとはスマホや携帯電話に頼らない”ウェアラブルデバイス”として、スマートウォッチを手掛けてきたという歴史があります。

2006年、ガーミンが世界初となるGPSを搭載したサイクルコンピューターを開発。ここから本格的にサイクリング市場にも参入し、現在でも高性能なサイクルコンピューターを展開しています。

そして何といってもガーミンの1番の強みは、30年以上の歴史を持つGPS性能の高さです。ランニング、サイクリング、登山、サーフィンなど、ガーミンのスマートウォッチがサポートするスポーツの分野は、言うまでもなくいずれも”自身が移動すること”が含まれており、これらの正確なデータを取得するうえで正確なGPS性能=「位置情報」が必要不可欠となります。ガーミンのスマートウォッチがここまでの世界シェアを獲得できた理由は、GPS機器のパイオニアが手掛ける、高い性能があったからに他ならないのです。

注目はガーミンの人気作、フォアランナーシリーズ

今回ご紹介するForerunnner(フォアランナー)シリーズは、ガーミンのスマートウォッチの中で最も長い歴史と高い人気を誇ります。その名称の通り、ランニング等のスポーツに特化した機能が充実したシリーズであり、現在プロランナーとして活躍する川内 優輝選手や赤﨑 暁選手がイメージビジュアルを務めて注目を集めています。

赤﨑 暁選手(左)と川内 優輝選手(右)は、実際にガーミンのスマートウォッチを活用して大会に挑んでいます。ランニングデータはもちろん、睡眠の質を可視化することで、日中のパフォーマンスを向上させることに繋がったといいます。

2025年8月現在、フォアランナーシリーズは大きく分けて8種類も展開されています。エントリーモデルの「Forerunnner 165」、音楽再生に対応した「165 Music」、シリーズを代表するスタンダードな「Forerunnner 265」と小型版の「265S」、通話機能を搭載した「Forerunnner 570(47mm/42mm)」、高精細な地図機能を登載したプロ向けの「Forerunnner 965」、そしてLEDフラッシュライトを登載した最上位モデル「Forerunnner 970」という充実のラインナップです。

価格帯も3万円台後半から12万円台と幅広いフォアランナーシリーズですが、エントリーだからといってGPS性能が落ちたり、使える機能が極端に少なかったりすることはありません。エントリーやスタンダード機種でも機能が多いため、プロでない限り使いこなすのが難しいと感じる人も多いほどです。

ガーミンのスマートウォッチは用途によってカテゴリーが分けられているものの、エントリー機種であっても基本的な機能は備わっている場合がほとんど。自身がどんな運動をし、どのようなデータを得たいかによってモデル選びが変わってきます。

シリーズに共通するのは、計測したデータを反映させた「コーチング機能」。心拍数や血中酸素、その日の運動量などから算出し、ユーザーがどんなトレーニングをしたら運動効率が上がるか、あとどのくらい走るべきか、もう休むべきか、などの情報をスマートウォッチが提示してくれるので、まるでユーザー専属のコーチが側にいるかのようなトレーニングができるのです。それでは、各モデルの詳細をご紹介します。

Forerunner165/165 Music

Forerunner 165:ホワイトグレー、ブラックグレーのみ、3万9800円(税込み)。Forerunner 165 Music:ホワイトグレー、ブラックグレー、ターコイズ、ベリー、4万4800円(税込み)。

2024年に登場した最新のエントリーモデルがForerunner 165です。価格は3万9800円とシリーズ中で最も手に入れやすいとなっています。エントリー機種でありながら、鮮やかで高精細なAMOLEDディスプレイを標準装備し、表示する情報が見やすいことが特徴です。ランニングにおいても最低限必要な機能が揃っており、交通系(Suica)決済にも対応しているため、日常生活において困ることはないでしょう。

加えてForerunner 165 Musicは、音楽を聴きながらランニングをする方にはうってつけのモデルです。価格は4万4800円と少し上がりますが、ウォッチ本体に音楽データをおよそ450曲ほど保存しておけるので、ランニング中にスマートフォンを必要としません。

Bluetoothでワイヤレスイヤホンを接続してダウンロードした楽曲を再生することができます。Amazon MusicやSpotifyなどの音楽配信サービスに対応していますが、いずれも有料会員でないとこの機能が使用できないので注意が必要です。

Forerunner 265/265S

Forerunner 265:ブラック、ホワイト、アクア、6万2800円(税込み)。

このフォアランナーシリーズで最もスタンダードな立ち位置なのがForerunner 265/265Sです。それぞれケース直径が46.1mmと41.7mmとひと回り以上違っていますが、画面サイズとバッテリー容量以外の性能は共通しています。価格に関しては265は6万2800円、265Sは6万800円と、前述の165に比べると高価ですが、まずこれを買っておけば間違いない、という機能の充実ぶりが魅力です。

Forerunner 265S:ブラック、ホワイト、ピンク、6万800円(税込み)。

精度の高いGPS計測が可能で、2種類の周波数のGPS受信を行うため、都市部だけでなく山間部でも正確な位置情報が取得できます。ランナーに向けた専門的な機能のみならずフィットネス関連の健康機能に加え、前述した音楽再生機能や交通系(Suica)決済機能も標準で備えているので、普段の生活から高度なトレーニングまで幅広くカバーする、心強い相棒になってくれるでしょう。

Forerunnner 570 47mm/42mm

Forerunner 570 47mm:ブラック、ホワイト/アンプイエロー、パープル、8万9800円(税込み)。

シリーズのミドルクラスであるForerunnner 570も、265同様に2つのサイズを用意。ケースの直径は47mmと42mmですが、価格はどちらも8万9800円で共通しています。まず、これまでのモデルより更に明るく高彩度のAMOLEDディスプレイが特徴です。特に47mmモデルは大型ゆえにディスプレイが見やすく、直射日光が当たる日中の屋外でも優れた視認性を発揮します。

Forerunner 570 42mm:ブラック、ホワイト/クラウド、ラズベリー/マンゴー、8万9800円(税込み)

そしてフォアランナーシリーズに初搭載された音声通話機能が1番の魅力です。スマートウォッチ本体にマイクとスピーカーを備えているためスマートフォンを取り出す必要がなく、完全ハンズフリーで通話が可能。トレーニング中に急な電話が来ても、立ち止まらずすぐに対応できるので非常に便利です。

この音声機能を持つのは、本作と最上位機種Forerunnner 970の2機種のみとなっています。加えて裏面の光学式心拍センサーが、最新の第5世代のものにアップデートされたのも本機種からなので、これまでより正確なデータを取得できるようになっています。

Forerunnner 965

Forerunner 965:ブラック、ホワイト、アンプイエロー、8万4800円(税込み)。

2023年にシリーズ最上位機種として登場したForerunnner 965は、本作の性能をさらに向上させた、後述する新型機種Forerunnner 970に次ぐ機能性を持つ上位機種となっています。価格は8万4800円で、これまでご紹介してきたモデルが持つ機能をほぼ全て登載しています。また、軽量で堅牢なチタン製のベゼルを備えているため、時計本体の質感の高さも魅力です。

外装の質感の高さは高級機としてふさわしいものとなっており、ディスプレイを取り囲むベゼルはチタン製。ステンレスより軽量で、硬度が高い金属のため、傷が付きにくいというメリットもあります。

そして何より、Forerunnerシリーズの中で最も駆動時間が長い大型バッテリーを備えている点が特徴です。本シリーズの駆動時間は、平均して11日~15日程度(標準的なスマートウォッチモード時)である中、本機種のバッテリーライフはなんと約23日間にもなります。

国土地理院の承認を得た詳細なマップを表示してくれるので、長距離・長時間のトレーニングにも頼もしい1本と言えるでしょう。フルマラソンやトライアスロン、山岳レースなど過酷な競技に挑戦する人は、本機種を選んでおけば後悔はないはずです。

Forerunnner 970

Forerunner 970:ブラック、ホワイト/アンプイエロー、フレンチグレイ/インディゴ、12万1800円(税込み)。

2025年6月に発表されたばかりで、最新かつシリーズ最上位機種として満を持して登場したのが、このForerunner 970です。価格は12万1800円とスマートウォッチの中でも非常に高価ですが、それに見合った最高峰の性能を備えています。外装面では、965同様のチタンベゼルや、傷に強いサファイアクリスタルがディスプレイ表面に採用されるなど、高級機としてふさわしい仕様となっています。

またシリーズで唯一、本体の12時位置側面に高輝度フラッシュLEDライトを備える点も特徴です。夜間や暗い山間部で活動するうえで、ユーザーの安全性を高めてくれます。

チタン製のベゼルが取り囲むのは、サファイアクリスタル製の高輝度AMOLEDディスプレイ。屋外でも見えやすいフルカラーのマップが表示されます。また、12時位置側面に見えるのはフラッシュLEDライトです。時計本体にライトのついたスマートウォッチは貴重な存在でしょう。

性能面では、これまでのフォアランナーシリーズの機能をすべて搭載していることは言うまでもありません。そして、このForerunnner 970だけが登載する機能として、別売りのバンド型心拍センサー「HRM-600」を身体に装着すれば、少ないエネルギーで効率よく走るための情報を提示する「ランニングエコノミー」や、今週あとどのくらい走れるかを教えてくれる「ランニング耐久値」が測定可能になります。

加えて厚生労働省の認可を取得した、ガーミンの心電図アプリとの連携にも対応。「心房細動」と呼ばれる、心房と心室が同期して鼓動していない時に発生する、不整脈の兆候を検出します。1回の計測はおよそ30秒ほどで終了し、もしものことがあった際にも、測定結果を医師と共有することもできるのです。

ガーミンの心電図アプリは無料でスマートフォン側にもインストール可能。少しでも身体や心拍に違和感を感じた時のために備えておきたい機能です。

アプリとの連携で発揮される基本機能

ガーミンのスマートウォッチは、スマートフォンに専用のアプリをインストールすることで、その充実した機能を発揮します。アプリと連携して計測・表示できる機能は大きく分けて、運動に関する「マルチスポーツ機能」と、日常生活で役立つ「デイリー/ヘルスケア機能」の2つになります。

【マルチスポーツ機能】

スポーツ種目登載機能
トラックラン競技用トラックにおける距離の計測や、それぞれのラップタイムを計測・記録。
バイクサイクリング中に体内に取り込める酸素の1分間当たりの最大量(VO2 Max)の表示や、自転車で走ったコースを記録。
トライアスロンスイム、バイク、ランの記録の切り替えが、ひとつのボタンで可能。それぞれで必要な情報を記録。
ゴルフ国内外約4万3000種のゴルフコース情報を表示し、ゴルフ競技をアシスト。
トレイルランコースの勾配の距離、上昇量を表示。
トレッドミル室内ランでのタイムやペース、距離などを測定。
サーフィン波に乗った際の速度や高さ、潮流を表示・記録。
SUPスタンドアップパドルボード。1ストロークあたりの距離、1分間のストローク数を記録。
スイムスイム中の心拍の計測や、ラップ、ストロークを記録。

【デイリー/ヘルスケア機能】

項目機能詳細
心拍数裏面の心拍計で心拍数の変動と運動強度を測定。
ボディバッテリーゲームキャラのスタミナ量を現すHPのように、ユーザーが持つ身体のエネルギー量を表示し、休息のタイミングを提案。
血中酸素トラッキング血液中の酸素濃度を測定し、より効率的な運動・フィットネスを提案。
睡眠モニタリング睡眠時の心拍数や体の動きを計測し、睡眠の質をスコア化して記録。
ステップ数歩数計のような機能で、目標に対しての達成率を管理。
セーフティ転倒事故を検出し、緊急連絡先に位置情報を送信。
音楽再生(対応モデルのみ)ワイヤレスイヤホンを接続し、運動中に音楽を楽しめる。
スケジュールスマートフォンのカレンダーに登録したスケジュールを表示。
気象位置情報を取得し天気や外気温などの情報を表示。
メッセージスマートフォンに届いた通知をウォッチに表示。電話の音声通話は対応モデルのみ。
支払いGarmin Payは国内のSuica決済に対応。鉄道やバスでの移動、買い物で利用可能。

以上がフォアランナーシリーズにおいて標準で使用できる機能の一例となります。

そして、これらの機能の計測結果を組み合わせることで、ユーザーをコーチングしてくれることが最大の魅力です。日々の生活では身体の情報をモニタリングしてコンディションを整えるように促し、トレーニング時には自身に合った運動量を提案し、レース本番では適切なペース配分を指示してくれる。そんな優秀な専属コーチが、ガーミンのスマートウォッチなのです。

あなたに合ったモデル選びを

多種多様なモデルを揃えたフォアランナーシリーズは、その充実ぶりゆえにモデル選びが大変でもあります。モデルが上位になるほど、登載する機能も増えると同時に価格も上昇するので、自身に必要な機能を見定めてモデルを選択するようにしましょう。

ここでご紹介したForerunnerシリーズのほかにも、アウトドアやウェルネスなどに特化した数多くのスマートウォッチおよびウェアラブルデバイスがガーミンから展開されています。エントリーモデルであっても高精度なGPS機能を備えているので、まずは気軽にチャレンジしてみてください。

エントリーモデルでさえ多くの機能を備えているため、まずは入門としてエントリーモデルを使用してみて、それでも物足りずに必要な機能が欲しくなったら、上位機種に乗り換えるというケースもよくあります。挑戦する競技や運動量、着用シーンを考慮し、搭載機能、駆動時間、本体サイズ、好みのカラーリングなどから、あなたに合った専属コーチを選んでみましょう。

この記事の監修

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小林時計店

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