
ランニングやゴルフ、フィットネスなどのスポーツから、アウトドア、ヘルスケア、ビジネスシーンまで何でもこなす、ガーミンのフラッグシップシリーズ「FENIX(フェニックス)」。2025年10月、その頂点に君臨する至高の最新モデル2機種が発売開始となりました。「FENIX 8 Pro」と「FENIX 8 Pro MicroLED」の2本は、これまでのFENIXシリーズと何が違うのか。その進化したポイントを見ていきましょう。
ガーミンの技術力の結晶、FENIXシリーズ
ガーミンと言えば、航空機や船舶に搭載するためのプロ向けGPSナビゲーションを手掛けて成長を遂げた、異色のスマートウォッチブランドです。そのため他の競合他社と比較した際に”スマートフォンを作っていない”ことが特徴でもあり、スマートフォンの補助役としてではなく、スマートウォッチが主体となり、多種多様で高度な計測を行うのです。
現在ガーミンでは、最大の武器であるGPS機能をフルに活用した多くのモデルが展開されています。ランニング等のスポーツに特化した「Forerunner(フォアランナー)」、ヘルスケア機能で健康に導く「Venu(ヴェニュー)」と「VIVOACTIVE(ヴィヴォアクティブ)」、タフな外装を備えたアウトドア向けの「Instinct(インスティンクト)」、完全ゴルフ特化型の「Approach(アプローチ)」など、それぞれに得意な分野を持っています。

搭載する機能を絞ることで価格を抑え、自身にとって必要な分野の先進的な機能を手軽に手に入れられるというのが、これらのエントリーシリーズの魅力です。しかしその一方で、ガーミンでは高性能かつ高価なフラッグシップモデルも数多く手掛けていることも特徴です。
そのひとつが、今回ご紹介する「FENIX(フェニックス)」。このフラッグシップシリーズを端的に説明すると、前述したようなエントリーモデルに搭載されたスポーツやヘルスケア、アウトドアなどの多種多様な機能を、1本の時計に集約させた、言わば”全部載せ”のモデルとなっています。
数えきれないほどの多くの機能を搭載したFENIXシリーズは、まさにガーミンの技術力の結晶と言えるでしょう。プロのアスリートや、過酷な環境に身を置く冒険家、世界中を飛び回るビジネスパーソンなど、様々な分野で活躍する人の頼もしい相棒として、その実力を示しているのです。
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FENIXシリーズの頂点
さて、ここから本題に入りましょう。このFENIXシリーズの最上位モデルとして満を持して登場したのが、2025年9月に発表され10月より発売開始となった 2モデル「FENIX 8 Pro」と「FENIX 8 Pro MicroLED」です。

FENIXは2012年の初代モデルから続くロングセラーシリーズで、現在は8世代目として展開されています。FENIXのラインナップをご紹介すると、エントリーモデルの「FENIX E 47mm」、メイン機の「FENIX 8 51mm/47mm/43mm」、ソーラーパネルを搭載したロングバッテリー仕様の「FENIX 8 DUAL POWER 47mm/51mm」の計6モデル。

ここに”Pro”という名前を掲げて加わった2本の新モデルは、これまで同様に厳しい屋外環境にも耐えるタフネス構造を持ちながら、多くのシーンで着用できる洗練されたデザインを両立しており、FENIXの頂点としてふさわしいものとして仕上がっています。
そして、高精度な計測技術をもとに取得した記録はガーミン独自のデータ活用によってパーソナライズされ、ユーザーにとって的確な情報を与えてくれます。それでは、新モデルに加わった機能を詳しく見てまいりましょう。

スマホいらずで通話や緊急要請ができる「inReach機能」
これまでのFENIXシリーズを含むガーミンのスマートウォッチでは、多くの機能を使用する際にスマートフォンとの常時ペアリングが必須でした。「FENIX 8 Pro」と「FENIX 8 Pro MicroLED」では新たに携帯電話同様のLTE通信が使えるようになり、スマホに頼らず時計単体で機能を使用できるようになったのです。

ガーミンが「inReach(インリーチ)」テクノロジーと呼ぶこの機能。「LTE-M(カテゴリM1)」という通信規格を採用しているおかげで、山間部や海上などの電波が届きにくい場所でも通信ができるように設計されています。
このLTE通信によってできる機能は次の通りです。まずは音声通話とメッセージ。ガーミンのメッセージアプリと連動しており、登録された相手との音声通話やテキストでのメッセージのやり取りが可能です。加えて30秒間までのボイスメッセージを送ることもできます。

リアルタイムで位置情報を共有「LiveTrack」
続いてLiveTrack(ライブトラック)と呼ばれる、時計単体で機能する位置情報共有サービス。登録された仲間やチームメンバー、家族などとリアルタイムで位置情報を共有し、アウトドアなどのアクティビティ中に安否確認ができるというものです。
共有される自身の位置情報は30秒ごとに更新されるため、単独で行動しているときや、チームとはぐれてしまった際など、緊急時に役に立ちます。時計本体のロングバッテリーにより、アクティビティ前にしっかりと充電しておけば途中で位置情報が途切れるという心配も少ないでしょう。

次に「SOS発信機能」も有効です。これはアクティビティ中で緊急事態に陥った際に、スマートフォンが使用できない状況でも助けを求めることができるというもの。時計から発信されたSOS信号は、ガーミンの応答センターに即座に届けられます。そして発信者の位置情報や現在の状況が付近の救助組織に送られ、その情報をもとに援助に向かうという流れになります。
加えて衝撃が加わったことを検知する「事故検出機能」と併用することで、事前に登録された緊急連絡先にも通知されるようにもなっています。登山やマリンスポーツなど、時に危険を伴うアクティビティを行うユーザーにとっては、特に備えておきたい機能です。

またアウトドア中に役立つもう一つの機能は、天気情報の受信です。広範囲でLTE通信ができるメリットを活かし、空模様を常に確認しながら行動できます。特に山岳地帯では天候が変わりやすいため、備えておいて損はないでしょう。
スマートウォッチで初採用の”超美麗”ディスプレイ
続いて「FENIX 8 Pro MicroLED」だけに与えられた進化ポイントとして、モデル名にもなっているMicroLED ディスプレイの採用が挙げられます。スマートウォッチのディスプレイとして採用されたのは、本作が世界初とのこと。

このMicroLEDディスプレイは、およそ40万個にもおよぶ極小のLEDチップを高精度に配列した構造を持ち、スマートウォッチ史上最も明るいとされる、4500nit(ニト)の輝度を実現したおかげで、直射日光を受けてもこれまで以上に表示が見やすくなりました。
通常のFENIXやFENIX 8 ProはAMOLED(アモールド)という有機ELディスプレイを採用しており、こちらでも十分に明るく美しいものになってきます。しかしこのMicroLEDディスプレイは、それと比較して視野角は約6倍、色域は約15%も拡大され、どんな角度から見ても明るく、そして鮮やかな表示を実現。特に屋外での使用時や、マップなどの詳細で色鮮やかな表示をしている際に、このディスプレイの進化を実感できるでしょう。

さて、以上が「FENIX 8 Pro」および「FENIX 8 Pro MicroLED」の主な進化したポイントのご紹介になります。スマートウォッチ本体がLTE通信機能を持ったことで、スマホに頼ることなく幅広いシーンで役に立つ要素が格段に増えたことが最大の特徴でしょう。特にスマホの電波が届きづらいような過酷な環境に身を置く人にとっては、本作が緊急時に命を救うかもしれない”お守り”にもなります。
そして気になる価格は「FENIX 8 Pro」が20万6800円(税込み)、「FENIX 8 Pro MicroLED」はなんと31万8800円(税込み)。通常のFENIX 8(51mm)は19万8000円(税込み)であることを考慮すると、FENIX 8 Proとのわずかな価格差でLTE通信機能も使えるようになるので、特にアウトドア派の方はPROを選んで損はないでしょう。また屋外での視認性も含めて性能に一切妥協したくないという方は、MicroLEDの美麗なディスプレイを手に入れてみてはいかがでしょうか?
