
2025年春、オリスを代表するコレクション「ビッグクラウンポインターデイト」に加わったのは、とびきりポップな明るい色味の文字盤が目を惹く3本のモデルでした。今年ブランド刷新を行ったオリスは、”人々を笑顔にする”という精神をより強く体現するように、明るいカラーリングを採用したのです。今回は、そんな個性豊かなビッグクラウン ポインターデイトの新作をご紹介します。
ポップなカラーとともにブランド刷新を果たしたオリス
1904年に創業した歴史ある時計ブランド、オリス。100%スイス製、そして機械式時計のみを製造していることで知られ、比較的手の出しやすいフレンドリーな価格帯で幅広い年齢層の時計ファンからも人気を集めています。そんなオリスは創業から121年目を迎えた2025年、大胆なブランドカラーの刷新を行ったのです。

とにかく時計への愛が強いオリスは”人々を笑顔にする機械式時計を作る”という精神を創業時から掲げており、それは今も変わっていません。新たなブランドカラーとして採用したのは、「ピーチローズ」と「グリーン」というふたつの明るいカラーです。
ピーチローズは、スイスのヘルシュタインという町にあるオリス本社の壁面の色に由来し、人の温かみや生命力を象徴するものとしています。またグリーンはオリス本社を囲む豊かな森を表現しており、ブランドが歩んできたルーツを表現しているのです。
なぜオリスが今年ブランド刷新を行ったのか。それは「オリスがどのようなブランドとして存在すべきかということを再認識するため」。これまでと変わらない精神を持ちながら、どこのグループにも属さない独立企業としての立ち位置を守り続け、そして我々を楽しませてくれる時計作りを行っていくというメッセージなのです。
異色のパイロットウォッチ、ビッグクラウン
装いを新たにしたオリスは、そんな前向きで明るい姿勢を表すかのようにポップなカラーリングを採用した複数の新作を発表しました。そのひとつが、今回ご紹介する「ビッグクラウン ポインターデイト 40mm」の3モデルです。

ビッグクラウン ポインターデイトは、オリスのアイコン的存在のダイバーズウォッチ「アクイス」に並ぶ代表作であると同時に、コレクションとしての長い歴史を持っています。初めてビッグクラウンが製作したのは1938年のことで、第二次世界大戦に挑む米軍のパイロットたちに向けて製造されたパイロットウォッチが原点でした。その特徴は、パイロットがグローブを着用したまま操作できる大きなリュウズ(=クラウン)と、針で日付を示す「ポインターデイト」という画期的な要素を持っていたというふたつの要素です。
当時の一般的な日付表示は、文字盤に設けた窓で表示するものがほとんどでした(これは現代の時計でも同様)。オリスが実用性を求めた結果誕生したポインターデイトは、文字盤の中心から伸びる日付用の針が、文字盤外周を囲むように配された数字を指し示すことで日付を表示するというものになっています。

正確かつ画期的でありながらシンプルなメカニズムのため、当時でも故障のリスクが低かったといいます。視認性が高いことはもちろん、「1か月のうちどの位経過したか」を視覚的に示してくれるという点も、通常の窓での日付表示にはない要素です。
そんな初代のビッグクラウンは実用時計としての完成度が高かったこともあり、3針+ポインターデイトという機能的要素は全くと言っていいほど変わっていません。80年代から搭載するムーブメントを手巻きから自動巻きに変更し、細かな部分を数世代にわたって刷新しながら、市販モデルとして広く普及。文字盤のデザインや日付針の形状、ケースのサイズなど、その時代のトレンドに合わせながら刷新を重ねての数えきれないほどの多くのモデルを製造してきたのです。
クラシックとポップを両立する最新作
さて今回の最新作は、目の覚めるような眩いイエローと、程よく上品にトーンを抑えたライラック、爽快感あふれる夏の空のようなブルーの3カラーです。今回実機の撮影を行ったのは、在庫の関係上イエローとライラックの2本となりますのでご了承ください。

ホワイトのアラビア数字インデックスと、外周の日付表示というデザインだけをみると、歴代のビッグクラウンにも通じるクラシックさを持っています。古典的なデザイン要素を守りながら、ここまで現代的な時計として完成させているのは、ポップな色使いの文字盤に限らず、時計全体の質感を高めたことが理由でしょう。

文字盤の表面は共通してマットな質感となっているのですが、これが非常に繊細な仕上げなのです。アラビア数字のインデックスはプリントではなく別体として植字されており、これがインデックス自体に影ができることよって文字盤の立体感を生み出しています。また時分針はストレートな「バトン針」で日付針の先端は矢印型。パイロットウォッチとしての高い視認性を持ちながら、シンプルな文字盤の雰囲気を崩さないデザインです。

加えて、質感の高さはケースやブレスレットにも言えます。大きなリュウズを含め、非常にシンプルな形状のケースは初代ビッグクラウンを踏襲したものになっており、段差がなくポリッシュ仕上げの「スムースベゼル」が採用されました。
現行モデルとして展開されている他のビッグクラウン ポインターデイトを見ると、ベゼルは細かな溝が彫られた「コインエッジ」と呼ばれるものが採用され、文字盤や針も含め全く異なる印象です。ここはそれぞれ好みが分かれる部分でしょう。

「H型」のコマを組み合わせた癖のないステンレスブレスレットは、本作のために新たに開発されたものであり、このデザインがビッグクラウンシリーズに採用されるのは初とのこと。エンドピース(ケースとの接合部分)のおかげでラグ間に隙間なく接合されてケースとの一体感を生んでおり、両開き式のバックルは、閉じた際に厚みを持たせないシームレスなものになっています。
H型のコマと、それを繋ぐ中間のコマとで仕上げを変えているため、ディテールにメリハリを持たせて高級感が増していると感じられます。また調整のために取り外せるコマは、コストを抑えた「ピン式」ではなく、高品質な「ネジ留め式」になっている点も評価すべきポイントです。

オリスの精神を表す機械式ムーブメント
オリスはスイスの伝統的な機械式時計製造文化を守るために、創業から100%スイスメイドの機械式時計のみを作るというルールを明言しています。それを象徴するのが、シースルーバックになった裏蓋から見える赤く染められた自動巻きローターの「レッドローター」。2002年から採用されて以来オリスのトレードマークになっており、手が届く金額で高品質な機械式時計を供給するというブランドの精神と情熱を表しているのです。

本作が搭載するムーブメントは「Cal.754-1」。セリタ製の汎用ムーブメントに、オリスが開発・製造したポインターデイト機能のためのモジュールを組み込んだものです。このモジュール方式は80年代に手巻きから自動巻き化された時点から採用されているため、信頼性の高い仕組みだと言えます。ポインターデイト表示は、通常の日付と同じくリュウズを1段引いた状態で調整する事が可能。リュウズが大型のため、操作性の高さは言うまでもないでしょう。

オリスのブランド刷新とともに発表された今回の「ビッグクラウン ポインターデイト 40mm」。3カラーのポップな新作は、総じて”新生”オリスの精神を見事に体現するものに仕上がっています。34万1000円(2025年7月現在)というプライスは、価格上昇の一途をたどるスイス時計の中で手に取りやすい選択肢であり、幅広い年齢層にも薦めたい逸品です。明るいカラーののビッグクラウン ポインターデイトを身にまとい、楽しい時計ライフを過ごしてみませんか?
【スペック】
オリス「ビッグクラウン ポインターデイト」
品番 パープル文字盤モデル:01 754 7798 4068-07 8 20 06、ブルー文字盤モデル:01 754 7798 4065-07 8 20 06、イエロー文字盤モデル:01 754 7798 4069-07 8 20 06
ケース:ステンレススティール(直径40mm、厚さ12mm)、50m防水
ムーブメント:Cal.Oris754(機械式自動巻き、パワーリザーブ約41時間)
機能:時・分・秒、日付表示(ポインターデイト方式)
価格:34万1000円(税込み)、2025年8月現在